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  コーティングの選び方    2/2          

現在、固形・半ネリ・液体ワックスやコーティング剤が様々な種類や特徴を誇示されながら量販店で市販され、数多くあるディテーリング屋(コーティング屋)で色々な謳い文句のコーティングが行われています。

※ここでは誤解を避けるためワックスもコーティングの一種としてコーティング剤という表現を用いさせていただきます。

そのうちのどれを選ぶべきか? 何が良くて、何が悪いか・・・・・

それはオーナー様の嗜好があり、強い撥水性を求められる方も居れば、光沢を求められる方も居ます。そして、クルマの使用状況やの保管状況によってもその選択は異なり、愛車のケアに掛けられる時間によっても使うものが異なります。
したがって、これこそが最高のコーティング剤だと言い切ることは出来ない。言い切った時点で過ちを犯しているのかもしれません。
信者的固執を持てば、今使っているコーティング剤の短所すら見えなくなる恐れがありますから、その点を踏まえた上で出切るだけご自身のクルマの使用・保管環境に適したコーティング剤を選択していただきたいと思います。

ここでは、より本質的なメンテナンスの近道を探ることを考察してみたいと思います。

かつて主流だった固形ワックス、一昔前は、綺麗に輪を描きながら塗り込み、ワックスが乗ったまま走っていた方もいました。
時代は移り変わり、最近使っている方は非常に少数となったようですが、フチやエンブレム周辺の拭き取りの面倒さと持続性の弱さを除けば、高級品ならば、その蝋成分のおかげで怪しいまでの光沢感をを演出してくれる。
今でも強い照明下に晒されるショーカーには使われ光沢感を見せ付けてくれるような便利かつ効果的な一品だと思います。

それとは反対に施工を避けておいた方が良いものも見受けられます。
一つは、膜圧が厚く生じるコーティング剤です。
そして、硬さだけを追い求めるコーティング剤です。
この2つは再施工時にコーティング剤を剥がすのにも手間取ることとなります。


厚いコーティングの剥離作業 ガラスに積もる研磨クズ
厚いコーティングを剥離作業 ガラスに積もる研磨クズ


市販のコーティング剤の一部には使い始めは良いのですが、繰り返し使ううちに皮膜が厚くなるコーティング剤があります。水や空気と反応させながら皮膜形成を行うもので、塗るだけで塗装表面の滑りが良くなり、光沢があがるもので、一見便利そうですが使い込むうちに重ね塗りとなり厚化粧となってゆく。厚化粧となる際には埃や汚れを含みながら膜厚が増えてゆくので、やがては、明らかに光沢が落ち、皮膜に濁りが生じてくる。
敏感な方は3・4回重ね塗りを行うと色の変化に気付いてしまう市販のWAXやコーティング剤です。

では硬さを追い求めたコーティング剤はどうか?
傷つきにくく、汚れないような思いを抱かせてくれるかもしれませんが、それは植えつけられたイメージだけなのです。現にワイパー傷が付いたり、うろこ状の汚れ(カルシウムスケール)が付いたフロントガラスを見たことがあればご理解できるかと思います。
どんなに硬くてもも傷は入ります。ダイヤモンドですら傷つくし、カット加工も行っています。
硬さだけを追い求めるコーティングも後々再施工時に大きな弊害が生じることをお考え下さい。

そして、最も問題となるコーティングは、塗装表面にコーティングが乗っているのではなく、有機系溶剤をたっぷりと含んだコーティングが塗料と反応することで、塗装と一体化して何処までがコーティング層で何処からが塗装層なのか判らなくなるコーティングです。(塗料を溶かしながら硬化するコーティング)
定着性を求めるあまり塗装と一体化するコーティングほど手に負えないものはありません。


では、どのようなコーティングもしくはワックスが適切か?

その前に塗装にコーティングが必要か否かということからお考え頂きたいのですが
本来、塗装は鉄板を錆から守る役目を果たし、その色の演出によりクルマをよりよく見せる役割を果たしている。

油性塗料から水性塗料へと移り、現在では粉体塗装が行われるまでになって来ています。
耐スリ傷性塗料、セルフレストリングコート(自己修復性耐すり傷塗装)、スーパーファインコーティング(SFC)、スーパーファインハードコート(SFHC)、スクラッチ・ガードコート、スクラッチシールド等など時代と共に塗装技術も変化していますが、この場において塗装の専門家でもない私がアレコレと述べても本意を逸するので、そのことは専門家に任せることとします。

塗装そのものが最先端技術を駆使した重要なコーティングであることを前提として踏まえた上で、自動車メーカーと言う世界的巨大企業が、そして、塗料メーカーと言うこれまた世界的巨大企業とともに最も大切なコーティングであるはずの塗料を開発そして実用化している事はご納得いただけることだと考えます。

しかし、巨額の費用をつぎ込んで塗料と塗装技術を開発しているにも関わらず何故完全な塗装(コーティング)が存在しないのか?

これはあくまでも私の推測ですが
全てのユーザーのクルマの扱い方を考えると
その満足を100%満たせる塗料が開発出来ないのではないか?

「汚れない」「汚れ落ちが断然良い」「傷つかない」「傷ついても復元する」「劣化変色しない」

そんな塗装(コーティング)技術が確立されていれば、オプションで販売されているはずです。パールホワイト塗装で30万円アップのオプションを選ぶよりも完璧で無敵の塗装ならば100万円アップとなっても選択する方は居るはず。

では何故 完璧なものが無い中でコーティングを行うのか?

それは、現在の塗装では得れないものを補うためです。経年劣化を出来るだけ遅らせ現在ある塗装の艶や光沢を出来る限り長持ちさせるためです。
コーティングそのものが犠牲皮膜となり劣化しても塗装そのものを傷めない。

だからこそ皆様の愛車のメンテナンスのお役に立てるものだと信じております。


では、どのようなコーティングをGrade−UPでは理想とするか

  ・施工が容易で、再施工可能なコーティングであること。

  ・塗装の艶と光沢に大きな変化を与えないもの。

この2つの要素を満たす犠牲皮膜ならばコーティングに適していると考えます。



  
・施工が容易で、再施工可能なコーティングであること。
この中には2つの重要な条件があります。
まず一つ目は、専用の施工ブースなどで高温処理を必要としないこと。そして、再施工の時に施工したコーティングを容易に剥がせることです。
定着は良いが強固な定着ではなく、常温処理が出来、厚みのある樹脂皮膜を形成しないことを意味します。
この2つの条件は、施工設備と施工時間すなわち価格を大きく左右する条件でもあります。

  ・塗装の艶と光沢に大きな変化を与えないもの。
意外に思われる方も多いかとも思いますが、コーティングにおいて艶と光沢は変化させないことが理想です。艶と光沢はコーティングに依存しない。それはコーティングの膜厚が厚くなることを避けるべきだと考えるからです。基本コーティングは無色透明に近い皮膜となりますが、その膜が厚ければ光線の屈曲が変化する。すなわち塗装面を見る者に違和感を感じさせることとなります。ソリッド塗装においては意図しない光沢が生じたり、メタリック塗装ではギラギラ・ギトギト感が出てしまうことがあります。塗装本来の艶と光沢はみがきに依存し、コーティングは出来るだけ薄い犠牲皮膜であってもらいたい。


最後にユーザーの皆様にお伝えしたいことは
・商品のネーミングや謳い文句にに騙されない事。
・理解できる説明がなされている事。(分子式や構造式が理解出るならば別です)
・使用条件などを考えた向き不向きを考慮すること。
・クルマは屋外で使うものであるから、傷つきやすく劣化するので再施工が必要なこと。

ここでご紹介したことが皆様の愛車のメンテナンスのお役に立つならば幸いです。






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